目の下のシワと膨らみ、下眼瞼形成の真実
下眼瞼形成は、単に脂肪を除去したりヒアルロン酸(フィラー)を注入したりするだけでは解決しません。目の下のシワや膨らみ、そしてくぼんだゴルゴ線(涙溝)を根本的に改善するためには、脂肪再配置、隔膜補強、前頬リフトまで総合的に行うことで、長期的な満足度を得ることができます。整形外科専門医のキム・ソンフン院長が、実際の症例と解剖学的構造の説明を通して、なぜ単純なヒアルロン酸や脂肪移植では効果的でないのか、そして手術的治療の本質とは何なのかをお伝えします。
SH整形外科 顔のデザイナー キム・ソンフン院長
こんにちは、顔のデザイナー・整形外科専門医のキム・ソンフンです。
少し遅いご挨拶となってしまいましたね。いつの間にか季節は夏の暑さが引き、涼しい風とともに深まる秋が訪れたようです。
秋はよく「鏡の季節」とも呼ばれます。夏の強い日差しの下では気づけなかった顔の小さな変化が、
柔らかくも率直な秋の日差しの下では、より鮮明に浮き彫りになるからです。
特に、私たちの印象の大部分を占める目元は、その変化が最も早く、そして最も大きく感じられる部位です。
鏡の中の目の下が以前よりくぼんで見えたり、クマが濃くなったと感じたり、あるいはぷっくりと垂れ下がって疲れて老けて見える印象を受けたりしたことはありませんか? 私自身も、日ごとに年齢を重ねていく痕跡を目の下に感じることがあります。
最近来院された患者様の中にも、目の下について悩みを打ち明けてくださった方がいらっしゃいましたので、その方のお話を通じて、本日は下眼瞼形成についてお話ししてみようと思います。
「院長、私は目の下のくぼみが気になってヒアルロン酸を何度も打ちました。最初は少し良くなったように思えましたが、時間が経つと逆にシワが深くなり、周囲からもっと疲れて見えると言われるようになってしまいました」
診察室でよく耳にするお話の一つです。
年齢を重ねるにつれて、真っ先に変化が現れる部位の一つが、まさに目の下です。
朝鏡を見るたびにやつれて見え、メイクをしてもクマが隠れず、写真を撮るたびに老けて見える原因が目の下に集中するため、多くの方がストレスを感じられます。そのため、比較的簡単そうに見えるヒアルロン酸や脂肪移植をまず選択されるケースが多く見られます。
最初は良さそうに見えるかもしれません。くぼんでいた目の下が満たされ、クマもある程度緩和されたように見えます。
しかし、問題は時間が経つにつれて現れます。涙溝がより深く見えたり、
ヒアルロン酸がダマになったり凹凸になったりして、かえって印象が疲れて老けて見えるという結果につながるのです。
目の下は、単に「くぼんだ空間を埋める」という問題ではなく、解剖学的な構造そのものが原因だからです。
涙溝は、骨から皮膚までつながる硬い靭帯(tear trough ligament)が引っ張ることによって生じる構造的なシワです。
この靭帯は簡単には伸びないため、ヒアルロン酸や脂肪移植をいくら注入しても根本的な解決にはなりません。
むしろ過剰に入れると周囲が強調され、かえってくぼみが目立ってしまう逆効果が生じることもあります。
こうした理由から、ヒアルロン酸や脂肪移植を繰り返した末に、結局「手術しか答えがないのだ」と来院される方が多くいらっしゃいます。
目の下が膨らんでくぼんで見える問題を正しく解決するには、靭帯を剥離し、脂肪を再配置し、
必要に応じて隔膜を補強し、前頬をリフトアップするという総合的なアプローチが必要です。
単に脂肪を除去したりヒアルロン酸を注入したりするだけの手法は、かえって悪化の要因になり得るのです。
本日はまさにこの部分、下眼瞼形成の真の本質と原理について深くお話ししてみたいと思います。
下眼瞼の定義と説明
1. 下眼瞼の定義
下眼瞼(lower eyelid)とは、目の下側のまぶたとその周辺構造を指します。
臨床的には、皮膚、眼輪筋(orbicularis oculi)、皮下脂肪、眼窩脂肪、支持靭帯、そしてこれらと繋がる骨構造まで含めて説明されます。
単に皮膚だけでなく、多層の解剖学的要素が相互に影響を及ぼし合う複合的な空間こそが下眼瞼です。
2. 涙溝(インディアンライン/ティアトラフ)と下眼瞼の解剖学的構造
下眼瞼の悩みの核心は「涙溝(tear trough)」にあります。
涙溝は、骨から皮膚へと続く強固な靭帯構造である tear trough ligament によって形成されます。

Wong らの解剖学論文(PRS, 2012)では、カダバー研究を通じてこの靭帯が実在し、目の下のシワや窪みの原因であることを明らかにしました。
また、Haddock ら(2009)は、涙溝と頬の境界(lid-cheek junction)が単なる皮膚の問題や脂肪の不足ではなく、
筋肉と靭帯が噛み合った解剖学的構造によるものであると説明しています。

表層では眼輪筋の眼瞼部(palpebral part)と眼窩部(orbital part)の境界が涙溝と一致
深部では骨と皮膚を直接結ぶ靭帯が引っ張り込むことで窪みを形成
そのため、ヒアルロン酸注入や脂肪移植によって単に窪んだ部分を満たしても靭帯の牽引力はそのまま残り、むしろ過矯正となった場合にシワがより深く見えたり、凹凸が生じたりすることがあります。
3. 加齢と下眼瞼の変化
加齢に伴って生じる変化は以下の通りです。
皮膚の弾力が低下して薄くなる
眼窩脂肪が前方に突出し、目袋のように膨らむ
眼窩隔膜が弛緩して脂肪が押し出され、シワを悪化させる
前頬部のボリューム減少により、相対的に目の下の窪みが強調される
これらの変化が複合的に作用し、クマ、シワ、窪み、たるみによる膨らみが同時に現れます。
4. 外科的アプローチの必要性
結局のところ下眼瞼の改善には、靭帯を剥離し、脂肪を再配置(裏ハムラ法等)し、隔膜を補強し、必要に応じて前頬部をリフトアップする総合的な手術が必要となります。
単純な脂肪除去は再発や合併症のリスクを確実に高め、注入療法や脂肪移植のみでは靭帯の引き込みを根本的に解決することはできません。
近年の手術トレンドも「volume-preserving strategy」、すなわち組織を不必要に除去することなく温存・再配置する手法へと変化しています。
脂肪再配置、隔膜補強、リフトアップが結合された下眼瞼手術は、長期的な満足度と自然な仕上がりを提供します。
「下眼瞼」という言葉は通常、下まぶたの部位、
すなわち下まぶたから頬上部領域を含む眼瞼および眼窩周囲の構造を指す広い用語として使用されます。
臨床的には以下の要素が含まれる場合が多くあります。
眼瞼皮膚および皮下組織
眼輪筋(orbicularis oculi)
皮下脂肪または隔膜前脂肪(preseptal fat, orbital fat)
境界構造(例:靭帯、支持構造)
軟部組織のたるみ、くぼみ、小じわ、脂肪の突出などの加齢性変化
美容外科・眼瞼形成外科では、一般的に「下眼瞼形成術(lower eyelid blepharoplasty / infraorbital rejuvenation)」という用語が使われ、
下まぶたとその直下の部位に対する審美的・機能的な矯正手術を指します。
例えば、たるんだ皮膚の切除、脂肪の切除や再配置、靭帯の剥離や補強、頬との境界の調整などが含まれます。
StatPearlsの「Lower Eyelid Blepharoplasty」の文献によると、眼瞼手術は下まぶたの変形や審美的要因を改善するための術式であり、皮膚や脂肪の切除、筋肉の補強、組織の再配置などが含まれると説明されています。
EyeWikiの文献でも、下眼瞼手術は過去には単純な組織切除が中心でしたが、近年では組織の温存および再配置を重視するアプローチが強調されていると説明されています。

解剖実験において tear trough(ゴルゴ線/涙溝)と lid/cheek junction(眼瞼・頬境界部)の解剖学的構造を分析した論文。
眼輪筋(orbicularis oculi)の眼瞼部(palpebral)と眼窩部(orbital)の接合部が、表面的な涙溝と関連していると説明されています。
下眼瞼形成術の解剖学的な真実
1. 涙溝(tear trough)はなぜできるのでしょうか?
多くの方が「目の下がくぼんでいるから」涙溝ができると考えがちですが、実は単に皮膚がくぼんでいるからだけではありません。
涙溝には**涙溝靭帯(Tear Trough Ligament, TTL)**という構造が存在します。

骨から皮膚までしっかりと繋がって皮膚を引き込んでいるため、これがまさに目の下をくぼんで見せている主な原因です。
この靭帯は簡単には伸びません。
そのため、ヒアルロン酸や脂肪を注入するだけでは根本的な解決にはなりません。

むしろ注入しすぎると周囲が強調され、くぼんだ部分がより深く見えてしまうという、文字通り逆効果が生じる可能性があります。
2. 単に脂肪を除去するだけの手法はなぜリスクがあるのでしょうか?
以前は、目の下が膨らんでいると単に脂肪を取り除く手術が多く行われていました。一見するとシンプルで手軽に見えます。
しかし、問題はその後にあります。脂肪をやみくもに除去してしまうと、最終的に再発したり、目の下が落ちくぼんでかえって老けた印象を与えてしまったりすることがあります。
そのため、このような方法は長期的には満足度が低く、むしろ再手術が必要になるケースが少なくありません。
3. 最も効果的な方法は「総合的なアプローチ」です
ですので、私は下眼瞼の改善を考える際、常に総合的なアプローチを強調しています。
単にひとつの要素だけを解決すれば良いというわけではありません。
靭帯を剥離し、脂肪を再配置し、隔膜を補強しながら、必要に応じて中顔面(前頬)をリフトアップすることが最も確実な方法です。
場合によっては、少量の脂肪切除が必要になることもあります。

これを行うことで、次のような変化が生まれます:
涙溝は自然に目立たなくなり、
涙袋はふっくらと強調され、
ぽっこりと突出した目袋の脂肪はすっきりと整い、
前頬まで引き上がることで、お顔全体がはるかに若々しく生き生きとした印象へと生まれ変わります。
4. 実際の手術後の変化はどうでしょうか?
手術後、1ヶ月ほど経つだけでも患者様はとても驚かれます。
涙袋が綺麗に蘇り、目の下の膨らみは消えています。
窪んで見えていたゴルゴ線(涙溝)と前頬が滑らかにつながり、顔全体が明るく若々しい印象へと変わります。
ですから、私がいつも申し上げているのは、目の下は単に窪んでいるからと満たしたり、膨らんでいるからと取り除いたりするようなアプローチをしてはならないということです。
構造的に原因を捉えてこそ、根本的な改善が可能になります。

フェイスデザイナー キム・ソンフンの考察
下眼瞼は、単に窪んだ部分を埋めたり、膨らんだ脂肪を取り除いたりする問題としてアプローチしていては、決して満足のいく結果を得ることはできません。
目の下は、目という感覚器官を保護する構造物であると同時に、顔全体の印象を左右する繊細な調整の場です。
皮膚や脂肪、筋肉、靭帯、骨までが互いに緊密につながっており、そのどこか一部分だけに手を加えたからといって、全体の調和が生まれるわけではありません。
私が診療室で患者様と最も多く交わすお話は、「部分ではなく全体を見なければならない」ということです。
目の下の窪みは単に脂肪が不足しているから生じるのではなく、膨らみもまた脂肪が多いからだけに現れるわけではありません。
靭帯が引っ張り、隔膜が弱くなり、前頬が窪むことで、全体的にバランスが崩れていくのです。
したがって、手術的なアプローチは必ずこれらすべての要素を同時に考慮しなければなりません。
脂肪を再配置するのか、隔膜を補強するのか、前頬をリフトアップするのか、あるいは少量の脂肪を除去すべきなのかは、患者様一人ひとりの解剖学的条件によって異なります。
下眼瞼形成を単に「目の下の整形」と呼ぶには不十分です。
事実上、これは顔の中顔面の調和を扱う手術であるからです。
目の下が滑らかに整うと、単に疲れた印象が改善されるだけでなく、笑ったときの印象、表情の自然さ、さらには顔全体のバランスが変わります。
多くの患者様が手術後に「疲れて見えると言われなくなった」「顔がずっと明るく見える」というフィードバックをくださいます。
これは単に皮膚の一層を扱ったのではなく、解剖学的構造と表情の機能までを共に考慮した結果です。
私は「フェイスデザイナー」という修飾語を、単なるマーケティング用語だとは考えていません。
デザインとは何かを新しく作り出すことではなく、本来持っていた美しさを引き出すプロセスであると考えています。
下眼瞼形成も同様です。
無理に若く見せるのではなく、目の下の構造的な不均衡を正し、本来の顔の自然さと健康的な美しさを取り戻してあげることです。
整形には誇張があってはなりません。
目の下の手術は特にそうです。少しでもやりすぎれば印象が不自然になり、無理に手を加えたような結果がすぐに分かってしまいます。
したがって、執刀医は解剖学的な理解と同時に、節制された美覚を持っていなければなりません。
「引くべき時と満たすべき時の境界」をどこに定めるかが、結果を左右します。
私はいつも、患者様お一人おひとりの顔を画用紙のように考えています。
そして、その画用紙の上に線を引くのではなく、本来隠れていたラインを活かし出す作業をしているのだと考えています。
下眼瞼形成術は単に若く見せるための手術ではなく、人生の活力を取り戻す手術です。
私はこれからも患者様の眼差しに宿る本来の生気を取り戻すフェイスデザイナーであり続けたいと考えています。
誇張のない真実、解剖学的な真実、そして自然な美しさ。それこそが私が常に追求している哲学です。
心を込めてお話ししているうちに、今日の考察は少し長くなってしまいましたね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
気になる点がございましたらカウンセリングをご予約いただき、私と一緒により詳しく深いお話をいたしましょう。
患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの設計をお手伝いいたします。
フェイスデザイナー キム・ソンフン院長より

FAQ
Q1. ヒアルロン酸注入では絶対に改善できませんか?
A1. 症状がそれほど酷くない若い方であれば、一時的な改善は可能です。しかし、靭帯が引き引っ張る構造的な原因を解決することはできないため、長期的な満足度は低くなります。
Q2. 脂肪を完全に取り除いてはいけませんか?
A2. 単純な除去は再発や合併症のリスクが高くなります。脂肪は再配置と隔膜強化を通じて活用することが望ましいです。
Q3. 手術の傷跡は目立ちますか?
A3. 下眼瞼の切開線はまつ毛のすぐ下に位置するため、時間が経てばほとんど目立たなくなります。
Q4. ダウンタイムはどのくらいかかりますか?
A4. 通常1週間程度で抜糸が可能であり、腫れや内出血は2〜3週間かけて自然に引いていきます。
Q5. 再発の可能性はありますか?
A5. 単純な脂肪除去に比べ、脂肪再配置+隔膜強化+リフトアップは長期的な維持力に優れています。
Q6. 年齢に関係なく受けられる手術ですか?
A6. 30代から60代まで皆様可能です。ただし、皮膚の弾力やシワの状態によってアプローチ法を変えています。
Q7. 前頬リフトはなぜ必要ですか?
A7. 前頬がこけていると、目の下がさらに凹んで見えます。リフトアップを併用してこそ、お顔全体の調和が生まれます。
Q8. ヒアルロン酸施術に失敗した場合でも修正は可能ですか?
A8. 可能です。ヒアルロン酸によって凸凹になってしまった場合でも、脂肪再配置と隔膜強化によって矯正することができます。
Q9. 特別な傷跡のアフターケア方法はありますか?
A9. 軟膏、レーザー、傷跡注射などを併用し、傷跡がほとんど見えなくなるようケアいたします。
Q10. 手術後に涙袋がなくなってしまうことはありませんか?
A10. むしろ涙袋はぷっくりと際立ちます。
手術の核心は不要な脂肪を除去することではなく、本来あるべき位置へと整えることだからです。
次回は、下眼瞼手術において長期的な満足度をもたらす秘訣についてご説明いたします^^
気になる方は上の動画をご参考ください ^^
※ 本記事は、正確な情報をお伝えするため、手術前後の実際の姿を公開しています。
当該写真は患者様の同意のもと掲載されており、個人によってあざや腫れの程度が異なる場合があり、個人差が生じる可能性があることをお知らせいたします。
続けて読みたいコラム
下眼瞼形成の選択 – 脂肪除去 vs 目の下の脂肪再配置、その違いと限界
下眼瞼形成で最も議論となるテーマは「脂肪除去」と「目の下の脂肪再配置」です。ある医師は脂肪を除去すべきだと言い、またある医師は除去してはいけないと言います。…
60代男性の流涙症・目元のたるみ、エンドタイン内視鏡前額リフトと下眼瞼・中顔面リフト、眉下リフトが同時に必要な理由_
60代男性に見られる流涙症と目元のたるみは、単なる目の下の脂肪の問題だけではありません。60代男性によく見られる流涙症、目の下のふくらみ、まぶたのたるみは、単に目の下の脂肪が多いことによって生じる問題である場合より…
小鼻縮小をご希望でしたが、やってはいけなかった鼻!鼻先が先だった理由
小鼻縮小を悩んで来院されましたが、実際には小鼻よりも鼻先の構造が先だった症例です。鼻先が大きく小鼻が小さい場合、小鼻縮小を先に行うと、かえって印象が不自然になることがあります。…